ロバート・ダウニー・Jr、そしてジュード・ロウ主演。
2010年に日本公開された映画『シャーロック・ホームズ』。
ガイ・リッチー監督の代表作にもなった作品です。
ロバート・ダウニー・Jrはかの有名なアイアンマン役で有名ですし、ジュード・ロウに関してはのちに『ファンタスティック・ビースト』シリーズで若きダンブルドア先生を演じたことでも有名ですね。
そんな二人が共演したこの映画。
タイトル通り、世界で最も有名な推理小説『シャーロック・ホームズ』を実写化したものなんです。
しかしこの作品に関しては、一筋縄じゃいかないと言いますか。
シャーロック・ホームズと言えばいつだって冷静沈着。
ちょっと独特な思考回路で周囲を振り回すものの、多才さに富んだ英国紳士のイメージがあるのではないでしょうか。
でもこの映画のホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)はちょっと違います。
類稀なる観察力と推理力、知識、身体能力は言わずもがな。
けれどかなりの変わり者で、部屋に引き篭ったり散らかしたり、ちょっと不潔だったり衣服がだらしなかったりと、日常生活でのダメっぷりがすごいのです。
ワトソン(ジュード・ロウ)が元軍人の英国紳士らしくピシッと整った姿なので、余計に対比としてホームズの変わり者っぷりが際立っています。
わたし自身「ダウニー氏のホームズ」というだけで嬉々として映画館に観に行ったのですが、イメージの違いにそれはもう驚きました。
でも驚きはしたんですけれども、能力はピカイチ。逆に人間らしい部分(つまり愛嬌)があるダウニーホームズにすぐに魅了されていきました。
ダウニー氏にとてもよく合ったキャラクター設定だと思います。
そしてこの作品、映像と音響効果がやたらとカッコいいんですよね。
アクションシーンは倍速とスローを駆使した緩急つけた見せ方を取り入れつつ、そこに19世紀末のロンドンらしい重厚なBGMが合わさって目が離せないんですよ。とてもスタイリッシュ。
ホームズの推理シーンも特徴的で、ホームズが目の前の状況から推理し連想するシーンが、文字通りホームズの頭の中を覗いているような描かれ方をしており。こういうところでも冗長な語りシーンにならないよう工夫されています。
こういったスタイリッシュアクションの手法はガイ・リッチー監督の得意とするところであり、洋画ファンの間でも新作アクション映画の情報が出る度に何かと話題になっているのをよく見かけます。(『キング・アーサー』とか『オペレーション・フォーチュン』とか…)
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ストーリーとしては、ある一人の男が黒魔術を使用し罪のない女性たちを殺害する事件の捜査から始まります。
男の名はブラックウッド卿(マーク・ストロング)。とうとう彼を追い詰めたホームズは無事逮捕することに成功し、ブラックウッド卿は死刑を宣告されます。
しかし収監されている間も彼の周りでは不可解な事件が起こり…しまいには刑が執行され死亡確認がなされたにも関わらず、墓から甦ったブラックウッド卿はロンドンを混乱に陥れるのです。
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この映画の何が面白いって、ホームズとワトソンの掛け合いなんですよね!
お互いに皮肉の応酬をする時もあれば、息ぴったりな協力プレイも見せてくれる。
ワトソンはダメ人間で変わり者のホームズに呆れつつも、結局口車に乗せられ捜査に付き合ったら悲惨な目に遭う…そんな流れも含めて笑えるやらハラハラドキドキやら。
ブラックウッド卿が起こす事件は黒魔術っぽいホラー要素もあるものの、反面ホームズとワトソンのコンビはコメディ要素がたっぷりで、終始楽しく観られる映画です。
しかもこの映画、ブラックウッド卿の事件は序の口だということが示唆されているのも面白いところ。
なんと端々に「教授」の存在が垣間見えるのです。
『シャーロック・ホームズ』に出てくる「教授」と言えば…?
続編を予感させる終わり方もニクい演出。
実際、続編も無事作られましたし…これもまたひとつの「ホームズ作品」として最高に面白い映画となっています。