先日、声優の田中敦子さんが亡くなられたと発表されました。闘病中だったそうです。
田中敦子さんと言えば、わたしの中では『攻殻機動隊』。
主人公である草薙素子(通称“少佐”)の声を当てていらっしゃいます。
先日ブログに書いた『ゴースト・イン・ザ・シェル』でも、スカーレット・ヨハンソン演じる少佐の吹替を担当したのは、もちろん敦子さんでした。
あまりに早すぎるお別れに、驚きとショックを隠せません……。
惜しむあまり、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(以下『S.A.C』)を流しています…。
『攻殻機動隊』と言えば、神山監督のこの『S.A.C』シリーズが割と有名なのではないかと思います。
しかし、元々原作は士郎正宗氏のコミック。
そして原作ではストーリーも“人形遣い”を中心とした話になっているので、『S.A.C』とは少し違う流れとなっています。
(と言っても『S.A.C』でも原作オマージュは散りばめられていますし、後に“人形遣い”を彷彿とさせる話も描かれます)
ウィキによればこの神山監督版『攻殻機動隊 S.A.C』は、所謂「パラレルワールド」のようなストーリー進行なのだとか。
そんな神山健治監督の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズは、
・TVシリーズ シーズン1『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』全26話
・TVシリーズ シーズン2『攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG』全26話
・長編OVA『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』
の3作あります。
今回はシーズン1について、わたしの好きな部分を少しだけ綴っていきます。
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第1話の冒頭からもう格好いいんですよね。
事件の犯人を追う少佐が圧倒的な身体能力で犯人を追い詰めると、警察組織への罵倒を口にする犯人のこめかみに銃を突きつけながらこう言います。
「世の中に不満があるなら自分を変えろ!それが嫌なら耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら……」
これがもう、ただただ格好良くて。冒頭からこれですよ。
一癖も二癖もあるメンバーを率いる公安9課の女隊長として、厳しくかつ鋭く、容赦すらない“少佐”という人物が垣間見える一言です。
とは言え、ミスに落ち込むメンバーに対しては上司らしい励ましを見せる場面もあり、まるで成長を見守る母親のような優しさなんかも垣間見えて…そんなところもまた少佐の魅力のひとつなんですよね。
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少佐と言えば、シーズン1では伝説となった(※個人的意見)シーンがあります。
強化アームスーツと生身(全身義体ではありますが)と対峙した時、片腕をもがれボロボロになりながらも助けに来たメンバーから対物ライフルを奪い取ると、腰だめの体勢で片腕のみでリロードを繰り返しながら撃ち込むシーン。
メンバーから奪い取る時の気迫とセリフもさることながら、対物ライフルをその身一つで扱う姿にメンバーも内心ドン引きだったことでしょう…。
まあ観ている方としては惚れるくらい格好良いんですけどね…!
あの気迫は田中敦子さんだからこそ出せたものだと思っています。
(ちなみに対物ライフルとは、戦車の装甲をも貫通させるような長い射程と高い貫通力を持つライフルです。当然、銃自体も大型かつ反動も大きいため、通常は地面などに固定しながら使うものになります)
(それを片手で扱う少佐…もちろんそれが可能な高性能義体の持ち主ということではありますが、よくメンバーからメスゴリラと言われている所以がここに……おっと誰か来たようd)
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あとは個人的に好きな少佐のセリフがありまして。
バトー(公安9課のメンバー)に2人で映画を観に行かないかと誘われるシーンがあるのですが、
「ありがとう。でも本当に観たい映画はひとりで観に行くことにしてるから」
と返します。
バトーが「じゃあ、それほど観たくない映画は?」と聞くと、
「観ないわ」
と短く返すのです。
少佐とバトーの関係性も攻殻においては見どころな部分もありまして、個人的にも大好きなのですが…。
これまでにそれぞれ色々な経験をしてきた大人として、多くを語ることのない2人のなんてことのない会話ですら、非常に味があって好きなんですよね。
返すセリフも少佐らしいし、それを特に気にした様子もないバトーの気さくな雰囲気も、とても好きなシーンです。
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『攻殻機動隊』は2026年に新作TVアニメシリーズが始まるというニュースもつい数ヶ月前に発表されたばかりでした。
でも、もう新規作品では敦子さんの少佐は観られないのかと思うと……とても寂しくて仕方ありません。
田中敦子さんのお声が本当に好きです。これまでも、これからもずっとファンです。
どうか安らかに眠られますよう。