昨日の『ダークナイト』に引き続き、『ダークナイト ライジング』です。
ブログタイトルには実際のキャッチコピーを使わせていただきました。
ポスター含め、これが本当にカッコ良いやら切ないやらで…。
このダークナイト3部作はもう何度観たかって感じなんですが、毎回このライジングで号泣するんですよね…。
※映画の内容や結末に触れています。ご注意ください。
前作ではゴッサムの希望の光だったハービー・デント検事が悪に堕ち、復讐のために人を殺して自らも命を落とす結果となりました。
ゴッサムのためにそれらを隠し、彼の罪を全て被ったバットマンは、ゴッサムの英雄・デント殺しの犯人として追われる身となり、そのまま姿を消します。
今作はそれから8年後の話です。
デント死亡後に制定された法律によりゴッサムから組織犯罪が一掃され、ゴッサムは平和を享受していました。
しかし、ベインという傭兵がゴッサムを再び恐怖の底へ陥れようと画策しており…。といったストーリー。
このベインは元・影の同盟の一員でした。
影の同盟とは、1作目『ビギンズ』でブルースが修行した暗殺集団のこと。ゴッサムを破壊することを目的としていました。
ボスはラーズ・アル・グールですが、1作目でラーズは死に、同盟も潰されていたものの…ここに来て、過去が再びブルースとゴッサムの背後に忍び寄っていたのです。
前作で愛する女性を喪った後、8年の間引きこもって沈黙を貫いていたブルースでしたが、ベインの暗躍を察しバットマンとして復帰します。
しかしベインの意思は強く、策略によりブルースは会社も資産も、技術ですら奪われ、1対1で打ちのめされ奈落の監獄に放り込まれてしまいます。
この辺りがもう切なすぎて…。
ゴッサムのために罪を被り、愛する人を喪い、無茶が祟って身体もボロボロになり、それでも再びゴッサムが危機に瀕していると察してはその身に鞭打って立ち上がるのに、財産も理解者（アルフレッド）も何もかも失って奈落に落とされる。
でも、奈落に落とされてもまた這い上がるんですよ。ブルース・ウェインは。
それまで死を恐れていなかったブルースですが、そうではないのだとここで気づくのです。
ゴッサムのためなら命すら惜しまなかったブルースが、奈落から這い上がるため、ゴッサムを救うため、死を恐れ“生きることの強さ”を知るのです。
奈落から這い上がる描写は、1作目『ビギンズ』を連想させます。
井戸に落ち、コウモリに襲われた後、父親からかけられたあの言葉。
この経験がずっとブルースの（無意識ながら）原動力になっている気がしてなりません。
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わたしが一番好きなシーンは、ラストでゴードンがバットマンに正体を尋ねるシーン。
「正体を気にしたことはなかった」との言葉通り、ゴードンは他の人たちと違ってバットマンの正体に言及することはこれまでなかったんですよね。
ただゴッサムを守りたいという意志のみ感じ取り、信用し、共に戦った。それに彼は息子の恩人でもありました。
そうして共に戦い抜いた先、永遠の別れを前に市民のためにと正体を尋ねたゴードンに、バットマンは告げるのです。
「誰でもヒーローになれる。特別なことをしなくても。傷ついた少年の肩に上着をかけて、“世界の終わりじゃない”と励ませばいい」
ここでゴードンは脳裏にあるシーンがよぎるのです。
ずっと昔、両親を通り魔に殺されショックと不安で怯えていた大富豪の少年の肩に、上着をかけたことを。
最後の最後でこれはずるいんですよ…。
わたしは今作でゲイリー・オールドマンが演じるゴードンがバットマン作品の中でも一番好きで。
無茶苦茶なバットマンに振り回されていたゴードンに、「おじさん頑張って！」って言いたくなるぐらいにはユーモアもあって良いおじさんだと思っていたのですが。
最後の最後で『ビギンズ』でのフラグを回収するのずるすぎますよ…。
ブルースはあの時のゴードンのことをずっと覚えていて、それもあって信頼していたんだなと。
もうここ一番泣きました……。まさしくバットマンとゴードンは“戦友”でした。
＊＊＊
結末の粋な演出も含めて、ノーラン監督版バットマンのはじまりから終わりまでを綺麗に描き切った3部作だと思っています。
綺麗にと言ってももちろん痛みや犠牲はありましたが、それでもそれらを乗り越えた上での理想のエンディングではないかと。
まさにタイトルのキャッチコピーの通りなんですよね…。
いやはや本当に最高傑作だと思っています……。
原作に沿ったキャラクター（ジョーカーやキャットウーマン）や設定をうまく絡めつつも、“現実的”な（あるいは社会問題的な）犯罪に即した独自の物語となっているこの3部作。
バットマンだとかアメコミにあまり触れたことがないという方にもおすすめしたい映画です。
