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明けない夜は無い、「THE BATMAN」

今回は映画「THE BATMAN」についてです。

わたしは当時劇場にも足を運んだのですが、現在アマプラでも配信されています。おかげで二度目を観ることができました。

 

わたしはアメコミ映画がそれなりに好きなのですが、中でもアイアンマンとバットマンが本当に好きなのです。…しかしながら、彼らに関して詳しいのかと言われると、実はそうでもなく…。

アイアンマンはロバート・ダウニー・Jr.が演じたシリーズしか映画としては無いので、そちらに関してはひと通り鑑賞済みではあります。ただバットマンの映像作品については古いものも含めると色々あるもので…流石に古いものは追えていないのが現状です。

そもそも原作コミック自体ほぼ読んだことがないので…何となく又聞きで聞いた設定?お話?を知っている程度の知識しかなく…。

何故そんな話を今ここでするかと言うと、コアなファンの皆さま方に向けた言い訳です。お許しください!それでも好きは好きなのです!

 

ちなみに、ここ数年で話題になったバットマン映画と言うとやはりダークナイトトリロジーでしょうか。わたしもあれは本当に好きです…最高のバットマンだと思っています。そもそもノーラン監督の作品自体、本当に好きで…いずれみっちり語りたい。

その後のバットマンと言えばベン・アフレックが務めたDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)のシリーズですね。ただこちらではバットマン単体の映画は制作されておらず…結構楽しみにしていたのですが。

ベンアフバットマンも好きです。一番ゴツい。スーツ脱いでも強そう。それが更に対スーパーマン用のフルアーマーみたいなの着て「スーパーマンを確実に仕留めるマン」になるものだから、側から見て地味に面白いです。(ストーリー的には笑い事ではないのですが)

 

まあそんな感じで各バットマンについて語り出すと長くなるのでいずれということにして。その後DCEUがゴタゴタとしている時に突然出てきたのがこの「THE BATMAN」でした。

 

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これはDCEUとはまた違う世界、新たなバットマンシリーズとして今後描かれていくようです。主役のバットマンを演じるのはロバート・パティンソン。「トワイライト」「TENET」辺りが有名でしょうか。

正直、ダークナイトでバットマンを演じたクリスチャン・ベール、そしてDCEUのベン・アフレックに比べると、パティンソンは身体を張ってアクションやアメコミヒーローをやるイメージがそれ程なく。パティンソン自体は好きなのですが(トワイライトで胸キュンした人間です)、バットマンとしてはどうなのだろう…と思っていました。

 

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杞憂でした。

このシリーズでバットマンをやるなら彼しかいない。

 

ちなみに今回、驚異の三時間映画です。ひたすら暗い。映像としても物理的に暗いし、何より当のバットマンの雰囲気がとにかく暗い。雰囲気から出で立ちまで「THE・闇」といった感じ。

作中で自分でも夜行性だと言っているくらい殆ど夜にしか行動しませんし、たまにマスクを脱いで「ブルース・ウェイン」として立っていてもひどく厭世的にしか見えません。それくらい本編通して暗く、重苦しい映画です。けれど、決して絶望ではない

 

ストーリー的にはゴッサムシティとバットマンを巡る、非常に重厚なサスペンス・スリラーです。

リドラーという知能犯がゴッサム内の権力者を次々と殺害。現場に残された謎をバットマンと、作品ではお馴染みゴードン警部補が解きながら犯人を追っていく流れ。

そしてそこには隠蔽されたゴッサムの裏の秘密があって——。

 

実はわたしは今作で初めて知ったのですが。バットマンって悪と戦うアクションダークヒーローという面だけでなく、原作では探偵としての面もあるんですね。今作はその点に重きを置いた、サスペンス(ミステリー?)映画としての要素が強いです。謎を解きながら、犯人であるリドラーを追う。

これがまた始まりから終わりまでよく練られています。ストーリー構成が上手い。謎解きとアクションの配分も上手く、三時間もあるのに全然飽きないんですよ。目が離せない。

もちろん、バットマンらしいハイテク機器も登場するし、バトルもするし、バットモービルでのカーチェイスもある。

画面の見せ方も非常に上手いと思います。横転した車から見る、マントを靡かせながらゆっくりと近づいてくるバットマンがあまりに「らしく」て…敵からすれば恐怖でしかないあの見せ方は本当に格好良かった。

 

クリスチャン・ベールとベン・アフレックのバットマンに比べたら、今作のパティンソン版バットマンは未だ若く、バトルの際は無謀さも垣間見え、死にたがりというほどではないにせよ己の生死について頓着していない感じはします。

けれど、一番思慮深く、冷静でもある。作中に出てくる、自身にも関わるとある秘密にも動揺はすれど、自暴自棄になってあれこれやらかしたりはしませんでした。追うべきものが冷静に見えていた。

そんなバットマン…ブルース・ウェインに、ロバート・パティンソンが非常にマッチしています。元々、ちょっと謎があるとか影があるような役柄が似合う俳優さんでしたし、今作は非常に良キャスティングだと思います。ゴードン警部補も、執事のアルフレッドも。バットマンはキャラクター設定と言うか、キャスティングでも各キャラのイメージが結構変わるので面白いんですよね。

 

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ちなみにクリスチャン・ベール版はやんちゃで我が道をゆくブルースと、如何にも執事らしく献身的、主人の身を案じつつ側に控えるアルフレッド。

ベン・アフレック版は根は真面目だけどやる時は手段を選ばない、酸いも甘いも経験したような熟成ブルースと、皮肉屋で飄々としてるけれど影のように手助けするアルフレッド。

ロバート・パティンソン版は、バットマン以外のことは引きこもりがちだけど冷静で思慮深く心優しい若きブルースと、そんな若い主人を静かに見守りつつ手助けしたり物申したりもする親代わりのようなアルフレッド。

あくまで個人のイメージですが、どの作品もとても魅力的なキャラクター設定だと思っています。

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この「THE BATMAN」が良作だと思うのは、「バットマン」という存在の描かれ方があまりにうつくしいんですよね。

復讐と闇に生きる男が、最後の最後に自ら光を携え人々を導く姿があまりに神々しい。

あと何気に思うのは、父親を失った市長の息子について、過去に父親を失ったブルースとの対比として良い描かれ方をしているということ。局所的にしか登場しないのに、まるでそれは過去の「ブルース」のようで、でも率先して「バットマン(≒ヒーロー)」に手を伸ばした彼は「ブルース(=復讐と闇に染まった)」とは違う存在であり。

そして今作の物理的な暗さの一因ともなっているのが、本編通して大半が夜・雨のシーンなんですね。けれど、その中でも夜が明けるシーンが少ないながらもあって、それが物語的にもまるでバットマンにとっての「救い」「赦し」であるかのように描かれている。

作中でアヴェ・マリアがアレンジも含め多用されているのですが、それがまたより一層神聖さを際立てているんですよね…。総じて物悲しく、しかし絶望だけというわけでは決してなくて、僅かに希望も見える。どんな夜でも必ず明けるかのように。

そういう意味で、とてもうつくしい映画だと思います。

 

本当にこれは良作です。ダークナイトシリーズが最高だと言いましたが、この「THE BATMAN」も最高です。みんな最高!

次作へのフラグも立っていたので、今後がとても楽しみです。