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ラストに全てを持っていかれる映画『天使と悪魔』

ブログでも書きましたが、先日『ヴァチカンのエクソシスト』を観ました。

キリスト教つながりということでふと頭に浮かんだ映画が『天使と悪魔』。久々に観たくなったので、改めて視聴することに。

 

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トム・ハンクス主演で2006年に公開された『ダ・ヴィンチ・コード』。その続編が『天使と悪魔』です。

元々はダン・ブラウン氏の同名小説を映画化したシリーズで、原作では『天使と悪魔』→『ダ・ヴィンチ・コード』の流れなのだそう。映画では時系列が逆になっています。

その関係か、今作『天使と悪魔』では前作『ダ・ヴィンチ・コード』よりもかなり脚色が加えれられているそうです。

 

↓予告動画。いつものYoutubeでは公式動画が見つけられなかったので。

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『楽園のカンヴァス』の感想記事でも書いた通り、わたしはアートミステリが大好きです。

と言うか、そもそもの始まりはこの『天使と悪魔』かもしれません。

 

もちろん『ダ・ヴィンチ・コード』の方を先に観ているのですが、当時は宗教(ないし盲目に信ずるもの)の恐ろしさの方を強く感じてしまい、ミステリとして楽しめなかったんですね。

その続編と聞いて当初は及び腰ではあったんですが、わたしにとってはこちらの方がアートミステリ映画として楽しめました。…宗教の恐ろしさという点ではこちらも負けてはいないのですが…。

 

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ストーリーの舞台はカトリックの総本山、バチカン市国。ローマ教皇が亡くなり、次の教皇を選出するための投票システム、コンクラーベが開催されるところから始まります。

そんな中、ある研究所から『反物質』と呼ばれる強力なエネルギー物質が盗まれ、時を同じくして次期教皇の有力候補とも言われている四人の枢機卿が誘拐されます。

犯人は『イルミナティ』を名乗り、誘拐した枢機卿を順番に殺害し、最後にバチカンを滅ぼす旨を脅迫。それを止めるため、主人公のロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は残された手がかりを元に謎解きに奔走することになります。

 

わたしはこの『天使と悪魔』については映画としてかなり好きな部類に入るため、これまでにも何回か観ています。

今回はたまたま吹替と字幕を両方とも日本語にして観ていたのですが、あるシーンでとても印象的なセリフがありました。

 

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ラングドン教授が謎解きに必要な資料を求め、ヴァチカン記録保管所に入れてもうために亡き教皇のカメルレンゴ(侍従)であるマッケンナ司祭(ユアン・マクレガー)と話すシーン。

マッケンナ司祭は貴重な資料が保管されている保管庫への入室許可を出すにあたって、ラングドン教授に「神を信じますか?」と尋ねます。

教授の返答は「私は学者です。私の頭が神を理解することはできないと言っています」。

そこで司祭は更に問いかけます。「心では?」と。

ここで、吹替では「宗教には向かないと…。信仰心を授かっていないのです」と返答し、一拍置いて司祭が許可を出すことで話が進みます。

こうして見ると、正直に「私は信じられません」「信仰心はありません」と言っていますが、それでいいんか?という返答な気も。

ただ、これが原文を見ると納得する部分もあるのです。

 

Tells me I'm not meant to. Faith is a gift...that I have yet to receive.

これが原文で、訳としては「私の理解を超えたものだ。信仰心は、私がまだ受け取っていない贈り物です」といったところでしょうか。字幕の方はこんな感じで訳されていました。

こうなると吹替とは雰囲気が変わってくると思いませんか?わたしは字幕の訳の方が好きです。

 

giftだと言っているように、信仰そのものの存在を頭から否定するわけではなく「必要な人にはもたらされるもの」といったニュアンスになっています。またyetが入っているので「今はまだ」という完全否定まではしない感じの言い回し。ただ、現状では「自分の理解の範疇を超えている」。

吹替との違いは「宗教への敬意が感じられるか」だと思うんですね。

同じ「信じられない」といった意味合いだとしても、字幕の方が流れに合っていると言うか…司祭にとってもキリスト教への敬意は感じられて納得はできる返答なんじゃないかと思うのです。

 

こういう絶妙な言い回しについても、洋画の面白いところなんですよね…!(と言いつつ英語には詳しくないので普段はそれほど気にしませんが…)

 

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『天使と悪魔』の面白いところは、何より怒涛のエンディングなんですね。

それまで主人公周りのキャラクターの動かし方、見せ方によって視聴者側に色々と思い込ませておいてからのあのラストなので、最後の最後まで目が離せないんです。これが非常に面白い。

スピード感のある展開も視聴者心理に一役買っていると思うんですよね。上手いと思います。

 

ミステリーやサスペンスが好きな方にはおすすめの映画です!あのラストで「そんなあ!?」ってなってほしい!

興味のある方はぜひ!