のてライフ

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もう二度と読めないかもしれない『ライオンのおやつ』


以前、作家である小川糸さんの暮らしについてのムック本を読んだ話をブログで書きました。

notelife.hateblo.jp

 

わたしは小川糸さんの著書については知識としては知っていたものの、実際に読んだことはなく。

このムックを読んだ時に「これはぜひ著書も読んでみたい」と思い、選んだのは『ライオンのおやつ』でした。

books.rakuten.co.jp

なぜこの本かと言うと…過去に本屋大賞に入っていたこともあり、一番よく聞く名前だったと言う理由から。

 

ちなみに、このブログのタイトルに「もう二度と読めないかもしれない」と書きました。

何故か?

 

泣くからです。

 

もう有り得ないくらい泣きました。

目も鼻も真っ赤にして、大量のティッシュごみを生産しながら、休み休み、なんとか読み切りました。

 

最初はいつものように持ち歩いて出先で読んでたんですよね。待ち時間とか、移動中とか。

で、半分を過ぎた辺りでいよいよやばくなって家で読み切ることにしたのですが、ま〜〜〜泣く。ひと文字追うごとに涙が出てくる。

 

感動モノ、なんて一言では片付けられない本なんですよ。

商品紹介に書いてあるあらすじを読んでいただければわかるんですが、主人公はすでに余命幾許も無い身なんですね。つまり結末がどうなるかについては、こちらとしては最初からわかっているんです。

 

描かれているのは、最期の時をどう生きるか。

 

散々治療を受けてきたにも関わらず、余命を告げられ疲れ果てた主人公は、最期くらいはゆっくり過ごしたいと瀬戸内の島のホスピスにやってきます。

この島は本当にあたたかな場所で、最期の時を過ごすゲストたちを優しく包み込み、見守り、もちろんホスピスでは緩和ケア(セラピー)という形でも助け……そして、看取っていく。

 

もう少し生きたかったという切望であったり、変えられないこともあるという諦めであったり、なぜ自分がという憤りだったり。

そんな気持ちを行ったり来たりしながらも、悲観したままこの世を去ることがないよう、ゲストに寄り添うホスピス……『ライオンの家』。

 

当たり前のように享受していた日々が如何に尊いものだったのか。

日々に追われ通り過ぎるばかりだった世界が如何に美しいものだったのか。

 

このライオンの家で過ごす主人公は改めてそれに気づき、家でのあたたかい日々を過ごしつつ、出会いと別れにも立ち会いながら、己もまた旅立っていくのです。

 

***

 

ライオンの家では週に一度ゲストがリクエストできるおやつの時間があるのですが、それについてのエピソードももちろん泣けるんです。

作中でライオンの家の責任者でもある女性が言っていますが、おやつって食事とは違って別に無くても身体に影響はないものなんですよね。

 

でも、あると人生が豊かになる。

 

いかに効率化よく最高の結果を残すか、そんなことを重視しがちな世の中ですが。

『人生の豊かさ』とはそういうことではないのだと、気づかせてくれる物語です。

 

 

号泣必至の本です…正直わたしは悲しいと言うより切なすぎてしんどくてもう読める気がしませんが…でも疲れた人なんかには読んでもらいたいかも。泣いて欲しい。

よい本でした。ありがとうございました。